(1)後藤織物(桐生市東)
(2)無鄰館(旧北川織物工場)(桐生市本町)
(3)桐生倶楽部 (桐生市仲町)
(4)森寿作宅(桐生市本町)
(5)賀茂神社近くの市道(桐生市広沢町)

 「はじまりのみち」は、「二十四の瞳」や「楢山節考」といった名作を残した映画監督、木下恵介の生誕100年記念として製作された。第2次世界大戦中の木下の実話を基に挫折と再生が描かれている。「クレヨンしんちゃん」などアニメ監督として活躍する館林市出身の原恵一が実写映画初監督作品としてメガホンを取った。

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 物語は木下(加瀬亮)が手掛けた映画「陸軍」が、戦意高揚を求める国から、出征する息子の無事を願う母親のラストシーンが良くないと指摘される。そのため次回作の製作が中止になり失望した木下は会社を辞め、病気の母親(田中裕子)のいる浜松へ戻る。戦況が悪化し、母親をリヤカーに乗せ、兄と雇った便利屋の3人で60キロ先の疎開先へ向かう。

 桐生市などで撮影された。国登録有形文化財で日本遺産「かかあ天下―ぐんまの絹物語―」構成資産の後藤織物や、桐生新町重要伝統的建造物群保存地区内にある無鄰館(旧北川織物工場)といった織都ゆかりの建物などを巧みに映画に取り入れている。

(1)後藤織物(桐生市東)

 映画監督として東京で母親と暮らしていた木下。空襲のため避難しようとすると、母親が倒れている。医者を呼びに行く際、全速力で駆ける背景の街並みとして、のこぎり屋根の織物工場が、いくつかの商店として使われている。

(2)無鄰館(旧北川織物工場)(桐生市本町)

 母親が倒れているのを見つけた木下が、医者を呼びに家を飛び出す時の路地として出てくる。

(3)桐生俱楽部 (桐生市仲町)

 大船(神奈川県)の松竹撮影所として、大正レトロな雰囲気の建物の一室が登場。監督した映画「陸軍」にクレームがつき、憤る木下が会社の幹部(大杉漣)に辞めると言い放つ。

(4)森寿作宅(桐生市本町)

 初めての監督作品「花咲く港」を撮影中(1943年夏)の木下が、浜松の実家で朝起きると、家族が中庭で撮影が順調に進むようにと、朝日に向かって手を合わせている。家族の木下への思いがこもったシーンに使われた。

(5)賀茂神社近くの市道(桐生市広沢町)

 木下と、木下の兄(ユースケ・サンタマリア)が、母親をリヤカーに乗せ、60キロ離れた疎開先へ向かう一シーンとして、市道沿いの民家の古い木塀を生かして撮影された。

取材後記 古い街並み巧みに

一見して桐生で撮影されたと分かるシーンは一つもない。撮影に立ち会った、わたらせフィルムコミッションの周藤史朗代表(49)に教えてもらいロケ地を訪ねてみたら、機音が聞こえてきそうな古い街並みに出合えた。