▼マリー・アントワネットがフランス革命のさなか、断頭台の露と消えたのは1793年10月16日。豪奢(ごうしゃ)な暮らしや反革命の立場に立ったことから国民の反感を買い、死刑を言い渡された

 ▼王妃の言葉として伝わるものに、貧困と食料不足にあえぐ民衆に向けた「パンがなければ、ケーキを食べればいいじゃない」がある。真偽はともかく、身分の高い女性が世情に疎いさまを示して余りある

 ▼処刑から2世紀余。国連食糧農業機関(FAO)によると、世界にはパンもなく、ケーキもなく、慢性的な栄養不足に苦しむ人々が約8億7千万人いる。その大半は発展途上国に集中する

 ▼そうした人々にさらに深刻な打撃を与えそうなのが食料需給の逼迫(ひっぱく)と指摘するのは名古屋大大学院の生源寺真一教授。人口増と豊かな食生活の広がりが需要を押し上げて価格を高止まりさせており、途上国の増産に向けた国際協力と人材育成が求められていると提言する(13日付本紙)

 ▼一方、世界では毎年生産される食料の約3分の1が消費されずに廃棄されている。こうした事態を改善しようと、国内ではまだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らす実験が始まっている

 ▼きょうは王妃の没後220年であり、FAOが定めた「世界食料デー」。食べ物を無駄にしていないか、冷蔵庫や食卓をチェックしてみたい。