▼『繭の記憶』という連載を担当した。20世紀から新世紀に変わる、そんな時期。産業として消えてしまいそうな養蚕、製糸、織物に携わる人々の思いを伝え残そうと、連載を始めると、読者から共感の手紙が相次いだ

 ▼国を富ませ、群馬を支えた、この産業の裾野の広さ。そこに携わった自負と愛着。熱い思いは、連載を書く自身の家系にもつながり、共鳴した

 ▼時は移り、産業の象徴「富岡製糸場と絹産業遺産群」は来年の世界文化遺産登録を目指す。本紙は応援キャンペーン「残そう 繭と絹の国」として今夏、県内に残る78件の「ぐんま絹遺産」をテーマに絵手紙、写真、俳句を募集した

 ▼今月7日の絵手紙部門に続き、来月6日には高崎市の日本絹の里で写真・俳句部門を表彰する。絵手紙には432点が寄せられ、今回は写真300点、俳句1300点を超え、審査員を悩ませた

 ▼前橋市の町田睦さん(74)は全絹遺産78点の写真を応募してくれた。18年前に県蚕糸課長として関わって以降、その〝復活〟を夢見て尽力する。「崖っぷちの絹産業だが、世界遺産登録で救う道が見えてくる。その応援をしたい」

 ▼本県では、きょうまでユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」の調査が行われている。登録への最終関門。「遺産群」一つ一つに込められた県民の思いが伝わることを祈りたい。