▼一説に、お盆に供えるキュウリの馬はご先祖様や亡くなった家族が早く家に来られるように、ナスの牛はゆっくり帰るように、との願いが込められているという

 ▼「ゆっくり丁寧に」と牛で迎える地域もあるようだが、いずれも先祖への畏敬や思慕の心情を伝えることのできる習慣として大切にしたい。きょう16日は送り盆。玄関先で送り火をたく家はどれくらいあるだろうか

 ▼少子高齢化に伴う担い手の減少や核家族化、農業の衰退で、伝統の行事は消えつつある。2008年の県の調査では、祭りや行事は1割近く、民俗芸能は4分の1が廃絶を含む「継承の危機」にあった

 ▼古くから引き継がれてきた祭りや家庭の習慣は自然への畏れや先祖の教えを思い出させてくれる貴重な機会でもある。東日本大震災を経験し、自然はコントロールできないもの、畏れ敬うべきものだという認識や考え方が広まっている今が、祭りを復活させたり、意味を見直す好機だ

 ▼長野原町川原畑の送り盆行事、200年以上続く「三ツ堂の百八灯」。八ツ場ダム建設事業で全水没となる同地区の人口はここ10年で4分の1に激減、08年には観音堂が代替地に移転したが、地域の熱意で続いている

 ▼自然をコントロールするダムの工事が本格化する長野原町で、こうした祭りが守られ、引き継がれていくことは意義深い。