▼ことし4月に亡くなった太田市出身の俳優、三国連太郎さんは、60年を超える俳優人生の中で1956年の映画『ビルマの竪琴(たてごと)』(市川崑監督)を「その後の人生に大きな影響を与えてくれた作品」に挙げていた

 ▼原作は竹山道雄の同名の小説。第2次世界大戦末期のビルマ(現ミャンマー)戦線を舞台に、戦場での音楽の力と平和への祈りを描いている

 ▼音楽学校出身の隊長役を演じた三国さんは「戦争は狂気。罪悪以外の何ものでもない」という思いを合唱のタクトを振る姿に込めたという

 ▼この作品で、隊長の部下である竪琴の名手、水島上等兵は母国に帰る隊長、戦友と別れ、僧侶となって当地にとどまる。小説では〈幾十万の若い同胞が引きだされて兵隊になって、敗(ま)けて、逃げて、死んで、その死骸がまだそのままに遺棄されて〉いるのを目にしてしまったから―と書く

 ▼終戦からきょうで68年。小説や映画の舞台となったミャンマーでは、いまも日本人戦没者とみられる遺骨が行き場をなくしている。発見した地元住民と、遺骨を収集する日本政府を結ぶ情報ルートが確立されていないためという

 ▼当地には約4万5千柱の遺骨が眠っているとみられるが、ことし3月までの10年間で収集したのはわずか7柱にすぎない。ミャンマーの民主化を機に、政府は収集活動に本腰を入れるべきだ。