▼柔道女子日本代表に対する暴力指導問題、日本スポーツ振興センターからの助成金不正受給問題、さらに、現職理事による女子選手へのわいせつ行為―

 ▼年明けから不祥事が次々と明るみに出ている全日本柔道連盟(全柔連)だが、公益財団法人である全柔連の上村春樹会長にきのう、内閣府の公益認定等委員会が組織運営の改善を求める勧告書を手渡した

 ▼来月末までに責任の所在を明らかにし、適切な措置を講じて体制を再構築するよう求めたもので、組織改革を理由に辞任を先送りしている会長への事実上の辞任勧告。人心の一新なくして組織改善はできないとの判断だ

 ▼問題発覚後の全柔連の自浄能力のなさは目を覆うばかりだった。委員会に一連の不祥事の事実関係と対応策の報告を求められても、「事実関係を真摯(しんし)に報告する内容ともなっておらず、極めて遺憾」と厳しく批判され、再提出を求められたほど

 ▼柔道の創始者、嘉納治五郎が基本理念に「精力善用」「自他共栄」の二つを掲げたことはよく知られる。目的を達成するために精神の力と身体の力を有効に働かせる「精力善用」と、自己の繁栄のみを目的とせず、助け合い、譲り合い、融和協調して共に栄える「自他共栄」

 ▼全柔連は混迷から脱するために、あらためてこの二つの理念をかみしめる必要があるのではないか。