▼日本を統一したヤマト王権と密接に結ばれ、東国の中心地として豊かな文化が花開いた古代群馬。その繁栄ぶりに迫る県教委の古墳総合調査が6月に始まる

 ▼題して「偲(しの)ぶ毛の国」群馬の魅力発掘・発信事業。市町村教委と連携して161人の県民調査員が、全県で2015年度まで現地を調査。約70年ぶりに『上毛古墳綜覧(そうらん)』を改訂し、古墳県としての価値をあらためてアピールする

 ▼指導に当たるのは、本紙文化欄で「群馬の古墳物語」を執筆している右島和夫さん(64)=伊勢崎市境女塚。群馬大で古墳調査の第一人者、故尾崎喜左雄さんに出会い、その後ろ姿を見て研究手法を学んだ

 ▼関西大大学院修了後、文化財行政を担当する県職員として遺跡・古墳の調査に明け暮れた。「一見平凡と思われる古墳でも、丹念に調べることで見えてくるものは多い」

 ▼記憶に残るのは石一つの積み上げ方に至るまで古墳の築造過程を徹底的に調べ上げた田篠遺跡(富岡市)と、おびただしい埴輪(はにわ)片をすべて接合することで形と配置の全容をつかんだ神保下條古墳(旧吉井町)だという

 ▼「群馬の特徴は古墳の数の多さより、むしろ質の高さにある。古代の東国を立体的に調べ上げたい」と右島さん。特に注目するのは、厚い火山灰層に埋もれたまま眠る榛名山周辺の古墳だ。新しい発見に期待したい。