▼伊勢崎市本町で茶販売店を営む秋山春海さん(76)は7年前、市図書館で昭和初期の群馬県普通電話番号簿を手にしてひらめいた。1908(明治41)年に初めて伊勢崎に電話が通じた時、だれが1番を引き当てたか。すぐに10番までを調べてみた

 ▼1番は羽尾呉服店、2番は長谷川旅館―すでに建物は消失しているが、無味乾燥な数字の裏に物語があった。少年のころの本町通りや駅前の街並みの記憶がよみがえった

 ▼いせさき明治館(旧黒羽根医院)が昨年、築100年を迎えたのを機に秋山さんは若番号を100番までたどる協賛企画展を決意。4月上旬、店舗のギャラリースペースで、調査成果を展示した

 ▼店舗の古い写真を探し、屋号が入った広告を集めた。それぞれの電話番号を調べ、自作の川柳を添えた。「大津から一本貰い木津になる」は料理店、大津屋が電話番号を譲った先が木津さんだったことをしゃれて詠んだ
 ▼わずか3日間の展示だったが、来場は100人を超え、写真を前に昔話に花が咲いた。秋山さんは「よみがえれ町に行こう」の合言葉に込めた思いが伝わった気がした

 ▼反響は想像以上だった。「他市でも同じような物語があるよね」と声掛けされた。新資料を寄せた人も現れた。何よりもうれしいのは、いせさき明治館で今夏、再展示する計画が動きだしたことだ。