▼都内の地下鉄で隣に座った若い男性が30歳前後の女性に席を譲った。女性は健康そうで、席を譲らなければならない理由があるように思えなかったが、よく見るとバッグに「おなかに赤ちゃんがいます」と書かれた札が下がっていた

 ▼これは「マタニティマーク」といい、妊産婦に優しい環境づくりをと厚生労働省が推進している。2006年から配布が始まったが、恥ずかしながら不勉強で承知していなかった

 ▼首都圏の鉄道事業者のほか、母子健康手帳とともに配布する市町村も多く、いまではかなり普及。電車の優先席に表示があり、妊産婦優先の駐車スペースを設けたり、自動車に張るステッカータイプもある

 ▼2児の母であり、少子化担当相を務めた小渕優子衆院議員も旗振り役の一人で、「妊娠6カ月くらいまではおなかが目立たず、妊婦と認識してもらえない」と説明。「日本独自の取り組みを世界に広げたい」と今後を見据える

 ▼ただ、世間の受け止めは一様ではない。ネットでこのマークについて調べていると、「席を譲れと主張しているようだ」「妊娠できない人への配慮が足りない」という反応もあった

 ▼東日本大震災を契機に人と人の絆や助け合いの大切さが見直された。多様な意見が出ることは社会の健全性を示すと思うが、もう少しおおらかであっていいような気がする。