▼「車のための道を造るという発想を見直そう」。将来の都市交通の在り方を考えるため、桐生の市民団体が開いたシンポジウムで、土井健司・大阪大大学院教授(交通・地域計画学)が提起した言葉だ

 ▼超高齢社会が迫り道路交通は低速化が求められる。歩行者や自転車、公共交通が自動車より優先するまちへ―。こうした「スローモビリティー」を推進する欧州の都市を紹介し、日本での道路事情改善の必要性を訴えた

 ▼中心街に広い道路が少ないことに加え鉄道4社の駅がある桐生市はスローモビリティーが浸透する要素を備えている。何より、高齢化率は県内12市で最も高い

 ▼この運動を観光に結び付けようと、自動車の最高速度を指定区域で時速30キロに規制する「ゾーン30」を本町1、2丁目の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に導入できないか、地元住民は検討を始めた

 ▼シンポジウムを主催したきりゅう市民活動推進ネットワークは、活動拠点の桐生駅構内で電動アシスト付き自転車を貸し出している。1日平均10台近い利用があり、「観光客の足として、一定の役割を果たしている」と近藤圭子代表は手応えを語る

 ▼スローモビリティーが浸透するにはバスの役割も大きい。市の路線バスや、群馬大などが試験運行している電動バスの利便性アップなど、行政のさらなる工夫が期待される。