▼〈「遊ぼう」っていうと/「遊ぼう」っていう。/「馬鹿(ばか)」っていうと/「馬鹿」っていう。〉。東日本大震災後、企業が広告を自粛する中で、この詩を朗読する公共広告機構のテレビCMだけが繰り返し放映された

 ▼〈こだまでしょうか、/いいえ、誰でも。〉。誰でも、応えます―というメッセージか。喪失感で覆われた被災地の人は心細くやり場のない心情を、それを受け止めたい人はその思いを重ねたのだろう。作者、金子みすゞ(1903~1930年)の名は、これを機に国内外に知られる

 ▼震災から2年。それぞれの思いは、今もこだまし合っているだろうか。被災地の新聞社は被災と復興報道に人と紙面を大きく割き続けているが、読者からは「そろそろ別の記事も」の声が聞かれるという

 ▼ネット時代。ひとり、部屋でつぶやいても、ネット上の誰かが反応する。自分のプロフィルや関心を登録すれば、仲間が見つかるソーシャル・ネットワーキング・サービスが広がっている

 ▼前橋市ではサービスを利用して「前橋自転車部」「前橋お弁当部」など新たなコミュニティーが次々に発足。3日には「まえばし×ふくしま部」が会津の伝統料理づくりで避難者と交流した

 ▼こだまし合う手段は増えている。復興の思いがこだまするなら、震災の風化抑止に一役買うだろう。きょう10日は、みすゞの命日。