▼字形が似ている母と舟―。〈母は/舟の一族だろうか〉で始まる詩人、吉野弘さんの作品「漢字喜遊曲」にひかれた。続く言葉が胸に残る。〈こころもち傾いているのは/どんな荷物を/積みすぎているせいか〉

 ▼主たる〈荷物〉は子であろう。出産、子育てに始まり、成長後も心配の種は尽きない。子に対しわが身の犠牲をもいとわない母の愛は、数ある愛の中で最上級に位置するに違いない

 ▼障害のある娘に寄り添う木村めぐみさん(藤岡)も本紙「視点」欄に書いていた。「親にとって一番大切なことは、子どもと対峙たいじすることであり、無償の愛を注ぐことだと教わった」と

 ▼では、妻の立場で家計という〈荷物〉はどうか。2012年家計調査(総務省)では、サラリーマン世帯の妻の平均月収は前年より6千円ほど多い5万9177円で、記録が残る1963年以降、最高になった

 ▼働く妻が増えていることも影響しているようだ。夫の収入は横ばいだが、世帯全体では1・6%増え、妻の収入が家計を支えている実態がうかがえる。子を積み、はたまた生活を積み、傾きつつも頑張る姿に頭が下がる

 ▼〈粗大ゴミである私は/「主婦」の読み方を変えなければなりません。/「主あるじに帚ほうきを使う女」―と〉。吉野さんの「主婦」から抜粋した。ひょっとしたら旦那も積み荷の一つか。せめて重荷にならないように。