▼20日に88歳で亡くなった元NHKアナウンサーの鈴木文弥さんは五輪やプロ野球などのスポーツ中継で活躍し、体操の難易度を示す「ウルトラC」を定着させた

 ▼〝東洋の魔女〟がソ連を下した1964年の東京五輪女子バレーボール決勝ではテレビ実況を担当。後に流行語となる「金メダルポイント」という言葉を生み出した

 ▼歓喜の涙にくれる〝魔女〟たちに向けた「泣いています。美しい涙です。うんと泣いてください」のアナウンスを覚えている人もいるかもしれない。このスポーツ中継の視聴率66・8%はいまも破られていない

 ▼NHKが53年2月1日にテレビの本放送を開始してから間もなく60年。空間を超えリアルタイムで情報を伝えるこのメディアは、五輪などのスポーツ中継にとどまらず、東京五輪前年のケネディ米大統領暗殺の衛星中継などでその特質を発揮してきた

 ▼制作する番組の内容では、草創期に評論家の大宅壮一から「一億総白痴化」の批判を受けたこともあった。だが、公共放送や民間放送が送り出すさまざまな番組は今日も国民の生活に強い影響を及ぼしている

 ▼テレビ放送開始60年に当たり、NHKと日本テレビが特別番組を共同制作する。公共放送と民間放送が垣根を越えて「ウルトラC」に挑むことでどんな未来が見えてくるのか。〝還暦〟の試みに注目したい。