▼〈人が流れる 縁起の張屋(はりや) 祭りばやしは 八坂の宮で 福を呼びます だるまの供養〉

 ▼前橋市制施行100年に合わせ1992年に作られた歌謡曲「前橋初市まつり」を聞くと心が弾む。作詞を担当したのは元市職員の桐生春男さん(82)。「こんなに長く、にぎやかに続けられるまつりは、前橋の誇りです」。きのう開かれた同まつりの幕開けとなる古だるま供養「お焚(た)き上げ」会場で感慨深そうに語った

 ▼1683(天和3)年、本町と連雀町に「市」を立てることが許され、〈翌年正月九日、初めて本町に市を開き見世張りしたのが、今の初市のはじまり〉という(『前橋市史第5巻』)

 ▼それ以前にあった雑貨市をルーツとする説もあるが、生糸の取引が行われた時代があり、明治期にだるまの売買が始まってからは「だるま市」とも呼ばれるようになった

 ▼前の年のだるまを納め、お参りしたあと、多くの人でごった返す本町通りの店で新しいだるまを少し値切って買っていく―。もう何十年、同じことを続けていることか。400年近くも継承されてきた伝統の行事に加わることで、各時代に生きた人々とのつながりを感じ、その喜びや苦しみに触れた気がするからだろうか

 ▼厳寒期のまつりという印象が強いが、今年は風もなく穏やかな日和。この国の1年もまた、そうであってほしい。