▼「麻垣康三(あさがきこうぞう)」。記憶があるだろうか。小泉純一郎首相の「後任」と目された自民党総裁候補。その昔、三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘5氏の一字をとった「三角大福中」になぞらえた

 ▼麻生太郎、谷垣禎一、福田康夫、安倍晋三4氏。紆余(うよ)曲折はあるが、その後、全て党総裁となる。谷垣氏を除いて、安倍、福田、麻生3氏が順に首相の座に就き、ほぼ1年ずつ務め、2009年8月の総選挙で民主党に政権を明け渡した

 ▼それから3年を経た今年9月26日。党総裁に安倍氏が返り咲いた。劣勢をはねのけ、「奇跡の勝利」と、興奮した側近議員の声が耳に残る

 ▼その日、福田元首相に会い、安倍氏再登板に懸念はないか尋ねると、あっさり否定された。「いざ政権を担うとなれば、前回と同じように、現実を踏まえて行動してくれると思いますよ」

 ▼今回の総選挙で自民党を圧勝に導いた安倍氏は26日、再び首相に選出される。改憲、外交など過激な発言が目立つが、元首相の言う通りになるのだろうか

 ▼国民が望むのは、近隣諸国といがみ合う国家ではない。穏やかで孫子の代まで安心して暮らせる社会である。それがかなわないと分かれば、来夏の参院選は07年夏、退陣の引き金にもなった参院選と同じ結果になる。今回、民主政権に国民の下した痛烈なメッセージが暗示している。