▼「科学技術の事故によって(住民が)移住させられた、人道危機だ」。スイスのジュネーブに本部がある世界最大の人道主義団体、国際赤十字・赤新月社連盟が「世界災害報告書2012」で東京電力福島第1原発の事故をこう位置づけた(17日付朝日)

 ▼報告書のテーマは「強制移住と移動」。福島の事故は、途上国を中心に開発に伴う強制移住者が推定1500万人いると説明した章の中で取り上げているという
 
 ▼福島第1のような過酷事故が全国16の原発で起きた場合、放射性物質はどのように拡散するのか。国の原子力規制委員会が初めて公表した拡散予測は、人道危機が福島にとどまらないことを示している

 ▼予測に地形などは考慮されていない。このため、規制委は「あくまでも参考にすべきデータ」と説明するが、避難が必要とされる区域に居住する人々の心中は穏やかではないはずだ

 ▼関係自治体にとって、拡散予測は事前に事故対策をとる必要がある「原子力災害対策重点区域」を決めるよりどころとなるものだが、「(規制委の)説明が不十分」と不満の声が渦巻く

 ▼きょうは、1963年10月26日に茨城県東海村の日本原子力研究所で日本初の原子力発電に成功してから50年目に当たる「原子力の日」。将来の人道危機を回避するためにも、あらためて福島の教訓をかみしめたい。