▼「奇跡の一本松」がきょう、伐採される。東日本大震災の大津波に耐えた岩手県陸前高田市の高田松原の松。「復興の象徴」と言われてきたが、海水で根が腐って枯死。元の場所に復元する上で欠かせない保存処理を施すため、切り倒されることになった

▼大津波は高田松原に限らず、太平洋沿岸に暮らす人々と生活拠点を海に運び去った。それから1年半。洋上に流出した大量のがれきが来月以降、米国やカナダの西海岸に本格的に漂着する見込みだ

▼岩手、宮城、福島3県から流出したがれきは推計で計約500万トン。7割程度は日本近海で沈んだが、損壊家屋の木材など約150万トンが漂流し、3月ごろから両国の海岸に流れ着いている

▼洋上の漂流物の処分については国際的なルールがない。沿岸国や自治体が処理するのが通例という。被災地の人にとって思い出の品々も、漂着される側にとってみれば、その処理は大きな問題だ

▼回収する費用や人手の問題、方法、保管場所など、沿岸の自治体は頭を悩ます。がれきの海洋生物や生態系への影響も懸念されている

▼日本政府は大震災発生時に各国から受けた支援を踏まえ、両国に計600万ドル(約4億7千万円)を提供する。国内のがれき処理など復興に向けた課題が山積する中、海外の震災処理にも積極的に支援の手を差し伸べたい。