▼「八月尽(はちがつじん)」のきょうは「二百十日」でもある。立春から210日目。台風の進路に当たる地方の農家では稲や作物に被害が出る厄日とされ、この日を中心に各地で風を鎮める祭りが行われる

 ▼長年にわたる被害の積み重ねがそうした風習を生み出したのだろうが、今日では気象庁の台風情報が位置や規模、進路などを詳細に教えてくれ、対策を立てやすい

 ▼だが、同じ自然災害でも地震となると、予知が難しい。昨年3月の東日本大震災では荒ぶる自然の人知を超えた脅威にさらされ、これを教訓に地震、津波対策の根本的な見直しが進む

 ▼東海沖から九州沖までの太平洋海底に延びる溝状の地形「南海トラフ」。内閣府はこの南海トラフ沿いで巨大地震が発生した場合、関東以西の30都府県で最大32万3000人が死亡するとの被害想定を発表した

 ▼最大級の地震を想定したものだが、津波の死者が約7割を占め、東日本大震災の死者・不明者約1万9000人を大きく上回る。もっとも発生の確率は極めて低く、早期避難や建物の耐震化率向上などを徹底すれば、人的被害は大幅に軽減する試算も示した

 ▼きょうの「二百十日」に続き、あす9月1日は関東大震災発生から90年目の「防災の日」。今冬には首都直下地震の被害想定も発表される見込みで、「減災」に向けた取り組みに弾みがつきそうだ。