▼「初老」を広辞苑で引くと「四〇歳の異称」とある。今の年齢感覚からすると、多くの人が首をひねるに違いない。不惑かどうかはさておき、最も気力に満ちあふれた年齢だろう

 ▼「人生80年時代」の言葉が1984年版厚生白書に出てくる。大正~昭和初期は出生児のうち50歳を迎えられるのは約半数、80歳まで生きる人は1割に満たなかったというから戦後の寿命の伸びは著しい

 ▼さらに「高齢社会対策大綱」の改定案素案は、65歳以上を高齢者とする定義を見直し「人生90年時代」への転換を提唱している。そうなると40歳は「若造」とも言われかねない

 ▼ロンドン五輪が閉幕した。アスリートの選手寿命は比較的短い。長い人生の中で〝メダルの重み〟はどうなのか。ふと気になり、東京、メキシコ五輪を連覇したレスリングの小幡洋次郎さん(69)=邑楽町=におうかがいした

 ▼小幡さんはメキシコ後、25歳で現役を退いている。まず思ったのは「あとの人生の方が長いぞ」ということ。世界の大舞台で戦った経験や学び得た教訓は「信念となり、その後の人生の骨格になった」

 ▼メダルは結果にすぎないという。「他人にはけっして理解してもらえない労苦」も重ねる過程が人を磨き上げるのだろう。輝いたアスリートの背中を追い、新しい若い力が名を上げる。長生きして応援していこうではないか。