▼「聖天様」の名で親しまれ、縁結びなどで知られる聖天山歓喜院(埼玉県熊谷市)本殿が国宝に指定された。同市と太田市を結ぶ刀水橋に近く、本県からも多くの人が訪れる

 ▼2003~11年に「平成の大修理」が行われ、創建当初(1760年)の華麗な色彩がよみがえった。庶民信仰により実現した近世建築装飾の技術的頂点をなすと評価は高い

 ▼初の本格修理では250年前の色の再現が課題だった。日光や雨風で傷んだ彫刻から塗料片を採取、エックス線をあて波長から顔料や漆を分析した

▼特に漆は黒、茶、赤、黄、緑の5色があったことが判明。奥殿北側の鷲(わし)の彫刻では塗り・乾燥・磨きの工程を35回繰り返した。他の彫刻も色が残る部分は和紙でコーティングし新たな彩色を施した

▼総事業費は13億5千万円。国や県、市の補助を除く3億5千万円は寺の負担だったが、毎月の参拝後に少額ずつ寄付していく人、8年間写経を続け、1枚奉納するごとに千円、計3千枚を納めた人など多くの浄財が寄せられた。「創建時も庶民の力が大きかったが、あらためて多くの方の力を感じた」と鈴木英全院主

▼本殿の彫刻は大小750点。竹や梅はあるが、なぜか松はない。江戸期の人気彫刻師が競演した2点の鳳凰(ほうおう)など日光とは違う謎や魅力もある。じっくり観賞してみてはいかがだろうか。