▼上田城を訪ねると“真田十勇士”が迎えてくれる。地域の歴史を生かした観光戦略をうらやましく感じつつ、どうしても長年抱いていた思いが浮かぶ。「群馬にも城があれば―」

 ▼松本城を誇りにする長野県人から「『これが群馬だ』っていうものがないね」と言われ、言葉に詰まったことがある。今なら富岡製糸場の名を挙げることもできるが、世界遺産登録への動きが盛り上がる前で、とっさに思い浮かばなかった

 ▼見た目にも分かりやすい「お城」は観光客を引きつける武器になる。戦後復興とともに全国で盛り上がった城再建の動きは、地域の象徴を求める人たちの熱い思いに支えられた

 ▼上田城と並ぶ真田氏の拠点、沼田城の再建計画が沼田市観光協会発足(1956年)のきっかけになったと聞いた。木材の集散地として商店街も活気にあふれた時代、沼田でも人々が歴史ロマンへの夢を語ったという

 ▼ただ膨大な建築費、維持管理などの課題もあり、実現には至っていない。5層の天守閣があったとされる名城の再建に向け、2007年にあらためて沼田城建設推進の会が発足、市民有志が先人の思いを引き継いでいる

 ▼NHK大河ドラマ「真田丸」(1月10日スタート)を控え、ゆかりの沼田城に関心が寄せられている。「観光都市・沼田」の原点である城跡の行方が気になる。