新型コロナウイルスの抗原検査キット(デンカ提供)

 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染急拡大で、感染の有無を調べる抗原検査キットの品不足感が強まっている。医療現場や濃厚接触者の利用に加え、昨秋に取り扱いを始めた薬局でも販売が急増した。世界的にも需要が高まる中、日本は検査キットの多くを輸入に頼っている。国内メーカーは増産に入ったが、早期解消は見通せず、医療体制や社会経済活動に悪影響を及ぼす恐れがある。

 検査キットは鼻の奥の粘液を綿棒で取ってウイルスのタンパク質を検出するのが一般的な手法。15~30分で結果が判明し、数時間以上を要するPCR検査よりも手軽に調べられる。東京都世田谷区は今月から区民を対象に無料配布を始めたほか、企業や家庭でも活用が広がっている。

 政府関係者によると、19日時点では抗原検査キット製造各社の在庫が計600万個あるとされていたが、既に300万個以上が出荷されたとみられる。

 ウエルシアホールディングス(HD)によると、調剤薬局が併設する全国約1700店のドラッグストアでは現在、1日で約2万個を販売。昨年12月と比較すると約4倍の売れ行きという。別の大手チェーンでは、昨年12月27日~今年1月23日の販売数がその1カ月前と比べ約26倍に上った。

 同HD傘下で「マルエドラッグ」を展開するクスリのマルエ(群馬県前橋市)は、県内22店舗で検査キットを販売する。購入者が増えており、25日には一部店舗で在庫切れになる時間帯があった。24日から1人当たりの購入点数を2点までとする制限を設けた。

 県の事業として店舗でPCR検査とともに行っている無料検査分は、確保できているという。同社は「輸入が滞って入荷が少なくなっている。店舗間で在庫を融通するなどして極力販売できるよう努力したい」とした。

 メーカー側は増産を始めた。検査大手の富士レビオ(東京)は、旭川工場(北海道旭川市)と宇部工場(山口県宇部市)で生産量を引き上げた。増産幅は非公表。これまでは両工場を合わせた生産能力を週48万回分と説明していた。

 検査キットの国内最大手、デンカはフル稼働中の五泉事業所(新潟県五泉市)で、昼夜2交代制の勤務時間を延ばしたり、休日出勤で対応したりする方向で検討中だ。五泉事業所は現在、1日で最大13万回分の生産能力を持つ。

 ただあるメーカー関係者は「薬剤卸や物流との調整が必要で、増産しても流通量がすぐに増えるとは限らない」と指摘する。

 抗原検査キット 新型コロナウイルスの構成成分であるタンパク質を、ウイルスに特異的な抗体を用いて検出する簡易キット。陽性か陰性かが短時間で判明する。特別な機器を使わず、1人で簡単に検査できるのが特徴。一方、症状がない人への確定診断には推奨されていない。政府は昨年9月、感染拡大の防止を目的に薬局での市販を解禁した。今年1月には医療現場で入手しにくくなっているとして、メーカー各社に2月末までの増産を要請した。

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