所有する家屋の前を除雪する男性

 強い冬型の気圧配置となった昨年12月25日から今月4日までの間、群馬県みなかみ町の藤原地区に降り積もった雪の量は全国の観測地点で2番目に多い277センチを記録した。県内有数の豪雪地帯として知られる地区だが、その後も降雪が続いている。住民からは「今年は雪かきに切りがない」「しんどい」といった嘆きの声が上がっている。今月中旬に地区内を歩き、大雪の生活への影響を探った。

 自家用除雪機を動かしていた男性(72)は、自宅近くに所有する空き家の除雪をしていた。休日になるとこの家のほか、倉庫4棟を除雪して回る。降り続く雪に「手が回らない」と話す。除雪機は約200万円で購入。築100年ほどという家屋は「雪の重みで軒が曲がってしまった」と指さし、「雪のない所に住みたいのが本音…」とこぼした。

 同地区で唯一のガソリンスタンドに勤務する中島充恵さん(70)。毎朝4時に起きて、自宅前を除雪してから出勤する。勤務中は、道路との間に高低差ができないよう、職場周辺の雪かきも欠かせない。「1週間に3日は雪が降っている。雪をいくらかいても終わらない。しんどいよ」と苦労を口にする。

 中島さんは店の後継者がいないため、高齢になっても1人で切り盛りしている。ガソリンスタンドでの冬場の「大口顧客」は、軽油を燃料とする除雪機だ。「(今年は)給油元の会社が驚くほど、軽油がよく売れている」と説明した。

 給油のため、道路で作業する除雪機が毎朝店にやって来る。「私が来なきゃ店を開く人がいないから。何が何でも出て来ないと」と使命感を胸に働き続ける。

 ただ、「あと10年もすれば、この地区は誰も住まなくなるかもしれない」と過疎化の行方を心配する。地区内には除雪されず、雪が玄関をふさいでいる家屋も目に留まる。

 中島さんは「高齢世帯の雪かきは大変。子どもが来て雪かきしてくれるか、そうでなければ冬の間は子どもの所で過ごしている」と説明する。

 中島さんの近隣の家も冬場に半数が空き家になっており、住民が転居したり、亡くなったりして完全な空き家も増えてきたという。「高齢者はこの地区に住めないよね。近所に店はないし」。中島さんは嘆いた。

 町は、自力での除雪が困難な高齢者らに対し、1世帯当たり期間中2回まで、屋根の雪下ろしにかかった費用の一部を上限1万円まで助成している。

 同地区を含む旧水上町のエリアを管轄する町社会福祉協議会水上支所は、建設会社4社による雪下ろしを年1回無料で実施。1人暮らしの高齢者や要援護者らに対象を限定し、今年はすでに12件実施した。

 町には「冬期居宅支援制度」として、住居が積雪により倒壊する恐れがある住民に対し、町が委託した民間施設に一時入居する際の費用の半額を補助する制度もあるが、町によると今季は利用者がいないという。