▼新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行さえなければ今頃、東京五輪の余韻に浸っていたはずだ。来年こそは外国の選手団が東京に集い、無事に開催されることを願わずにはいられない

 ▼海外で暮らす多くの日本人が今春、帰国を余儀なくされた。途上国で活動していた国際協力機構(JICA)の海外協力隊員も例外ではなく、本県の25人を含む約1800人が道半ばで任地を離れた

 ▼その無念を晴らすとともに、培った能力を生かしてもらうプロジェクトが嬬恋村の夏秋キャベツの生産現場で進行中だ

 ▼人手不足が慢性化している同村では300人以上の外国人技能実習生が、日本一の産地を支える。今年はコロナ禍で3分の2以上が来日できなくなったが、他業種から人材を補った

 ▼そうした中、海外協力隊の派遣前研修などを行う甘楽町のNPO法人自然塾寺子屋が中心となり、隊員と農家を結び付けた。県内外の11人が午前3時から働き、派遣国での経験を生かし村の魅力発信や課題解決にも取り組む

 ▼「仕事にやりがいと達成感を感じ、今はとても幸せ」。隊員たちがフェイスブックにつづるメッセージから日々の充実ぶりが伝わってくる。若者に希望を与えた取り組みは、新たな地域振興の姿を予感させる。本県のキャベツ生産を担う人材の在り方を考える機会にもなるだろう。