▼関東大震災が起きたのは1923(大正12)年9月1日のこと。午前11時58分にマグニチュード7.9の地震が発生した。死者・行方不明者は10万人超。昼食の準備で火を使っていた家庭が多く、東京では17万棟を超す建物が炎に包まれた

 ▼上毛新聞は「惨たり帝都焼土と化す/満目凄惨家屋悉く倒潰/至る處人畜死傷算なし」と見出しを打ち、〈職工三百名鉄骨の下になり助けを乞ふ聲凄し〉と状況を伝えている

 ▼大震災に遭遇したのが館林出身の田山花袋。ゴオという音が響いて来たかと思うと、大きな揺れに襲われ、慌てて自宅を飛び出した。瓦がすさまじい音を立てて屋根から落ちた

 ▼上毛かるたに「誇る文豪」と詠まれ、『蒲団』をはじめ多くの小説を残した。一方で日露戦争に記者として従軍。景勝地を訪ねて紀行文を記すなどルポライターの一面があった

 ▼遠くの空が火で赤く染まると、もうじっとしていられなかった。公園は家財道具を持った人であふれ、〈戦場か何かでなければとても見ることの出来ないようなすさまじい混乱と無統一と雑沓〉を目にした。焼けた電車の残骸は不思議な怪物のように見えた

 ▼見聞きした惨状を『東京震災記』にまとめた。あれから97年。首都直下型地震がいま起きたらと思うと恐ろしくなる。きょうは「防災の日」。せめて備えは万全にしたい。