▼夏の終わりはどこか寂しい。残暑は続きそうだが、40度超えを記録した8月とはやはり空気が違う。照りつける日差しにうんざりする日々だったが、過ぎてみるとまた一つ無為に年を重ねてしまったとの思いが強くなる

 ▼暑さはもちろん、今年は異例づくしの夏としても語り継がれるはずだ。威勢のいい祭りの掛け声は消え、風物詩となっていたスポーツの夏合宿も激減。酷暑の中でもマスク姿が当たり前に

 ▼加えて謎が多い豚の大量窃盗も夏の夜の怪として記憶に残るだろう。県内で計670頭の被害が確認されたほか近県での犯行も判明している

 ▼収穫期を迎えた果樹や野菜の盗難は耳にすることがある。もちろん苦労して育てた農産物が奪われた生産者はあぜんとするだろう。ただ家畜をこの規模でとなると、関係者も「前代未聞」と驚きを隠せない

 ▼特殊詐欺など犯罪の巧妙化が進む中、ずいぶん荒っぽい手口だ。前橋市の養豚場の防犯カメラには、夜間3人の人物が敷地内に侵入したとみられる映像が残され、刃物や袋のような物を持っていたという

 ▼同市は、再発防止に向けカメラ設置などの経費を補助する方針。大切に飼育してきた生産者には盗難のショックはもちろん、部外者の侵入でCSF(豚熱)の感染リスクが高まるとの懸念もある。映像の解析とともに全容解明が急がれる。