▼落語家の桂歌丸さんがイワナ釣りで通い詰めたのがみなかみ町の奥利根。シーズン中は延べ20日間ほどテントを張って楽しんだ。水は冷たく澄み、驚くような大物が釣れた

 ▼ある日、釣りをしていると仲間が「師匠、クマだ」と叫んだ。見ると中型犬ほどの子グマがやぶから出てきた。続いて大きな黒い塊が飛び出し、仲間に襲いかからんばかり。川の中州にいた歌丸さんにも向かってきた

 ▼荷物を投げ捨て、対岸の山中に逃げ込んだ。幸い事なきを得たが、とても映画で見るような悠長なものではなかったという

 ▼全国でクマによる被害が相次いでいる。上高地のキャンプ場では女性が脚を引っかかれ大けが。県内でも玉原湿原を散策中の女性が腕をかまれ、みなかみ町では米国人男性が重傷を負った

 ▼山に入る場合はクマよけの鈴を持ち、ラジオの音を流すなど人間がいることを知らせてやることが大切。出遭ってしまった場合、走って逃げたり、大声を出すのは逆効果。目を離さず、ゆっくり後退するのが良いという

 ▼とはいえ、なかなかできることではない。筆者も山奥で釣りをしていたら突然、近くのやぶが揺れ始め、恐怖に立ちすくんだことがあった。現れたのは幸い釣り人。向こうもまさかこんな所に人がいるとは思わなかったようで、互いに見つめ合い、ほっと胸をなで下ろした。