新型コロナウイルス感染症が過去最大規模で広がる中、2月8日に迫る群馬県内公立高入学者選抜の前期選抜について、県教委が追試を行わない方針を示していることに、前橋市の受験生の母親(51)から戸惑いの声が届いた。陽性者らは当日受験が認められず、評価の尺度が異なる後期選抜やその追試に回るしかない。学力以外に中学の成績や部活動実績などを重視する前期に照準を合わせる受験生は多く、波紋が広がる。一方、県教委は「後期選抜の際も調査書などは考慮される」とし、理解を求めている。

 県教委のガイドラインでは、新型コロナの陽性者と、陰性で無症状であるとの条件を満たさない濃厚接触者は当日受験できない。

 県教委によると、入試日程は2月8、9の両日に前期選抜、同17日に合格発表。後期選抜は3月8、9の両日で、同16日に合格発表、追試や再募集試験は同24日に予定されている。

 仮に前期の追試を挟むには、陽性となった受験生が回復するまでの日数を確保し、事務処理の時間も生じる。前期の合格発表や後期への出願の日程が詰まっている上、中高双方で3学期の授業時間の確保を考慮する必要もあり、日程上、現実的ではない。

 高校教育課は「最後の試験機会の後に追試を設けるのは他県でも一般的。調査書などは後期の合否判定にも使われる」と説明する。

 これに対し、次男が受験を控える母親は、近隣の学校でも陽性者が確認されているといい、「誰がかかってもおかしくない。もし今本人や家族が感染したら」と警戒する。次男がこれまで運動部の活動に打ち込んだのは、部活動実績が重視される前期選抜を目標の一つに据えていたからだという。

 自衛のため、27日から職場の理解を得てパートの事務職を在宅勤務とし、そうした働き方が難しい夫はホテル暮らしに切り替えた。ほぼ無欠席だった次男の考えも聞いた上で、登校を控えさせ、オンラインの授業支援を受けている。

 この母親は、同様の懸念を抱えつつ「卒業が近い友達との時間を」と子どもを登校させることを選んだ保護者もいると指摘。「県教委もやり方を考えてくれた上でのことだとは思う。そうは言っても、入試は子どもの人生に関わる。来年度の受験生には、何か違う方法を取ってもらえたら」と話した。

 隣接する栃木県教委も群馬と同様の対応だ。調査書を重視して面接と作文などで合否を判定する特色選抜(本県の前期選抜に相当)の後、学力検査重視の一般選抜とその追試を行う。担当者は、特色選抜で追試を行うのは日程的に難しいとし、「調査書は一般選抜の合否判定の観点にも含まれる。ご理解いただきたい」としている。

公立高入学者選抜 本県では前期と後期があり、いずれも学力検査を課し、中学の成績や活動を記した調査書が考慮される。それぞれの募集枠や配点は各校で異なり、前期は調査書の他に部活動実績など、後期は当日の学力検査を重視する例が多い。2024年度選抜からは前後期制をやめ、主要な試験機会を1回にまとめる。

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