渋川市の国道17号で、走行中のダンプカーから外れ転がる2本のタイヤ=12日(住民提供)
脱輪事故を起こしたダンプカー=13日、渋川市

 群馬県渋川市の国道17号で今月12日、走行中のダンプカーから外れた「左後輪」タイヤ2本が歩道の40代男性を直撃、大動脈解離や肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷を負った。国土交通省によると、脱輪事故は冬季に集中。タイヤ交換時や直後の整備不良が原因と考えられ、業界団体を通じて注意喚起をしている。大型車の脱輪は左後輪が極端に多いなどの特徴はあるが、識者は「根本的な原因解明が進んでいない」と懸念を示す。

 昼間の国道を猛スピードで転がる直径約1メートルの2本のタイヤ。1本は中央分離帯を乗り越え、反対車線の車の間をすり抜け、勢いよくフェンスにぶつかり止まった。渋川市の事故で防犯カメラに写っていた衝撃の場面。原因は県警が捜査中だが、運送会社への取材によると、車は昨年12月に業者に依頼し冬用タイヤに交換したばかり。事故当日の点検では目立った異常は確認されなかった。

 国交省が2020年度に起きた大型車脱輪131件の統計をとった結果、76件(58%)がタイヤ交換から1カ月以内に発生し、特に冬に多い。「タイヤ交換時期が集中することで業者などの作業時間が制約され、正しい作業が行われていない」と要因を推測している。

 交換後の管理不備も課題だ。50~100キロ走行した後の「増し締め」やナットの緩みの日常点検を怠れば危険は高まる。

 また、20年度の大型車統計では脱輪の125件(95%)が左後輪だった。国交省は①右折時に走行速度が速いまま曲がり、遠心力により荷重が働く。②左折時に、回転方向に対して垂直にタイヤがよじれるように力が働くこと-などを「推定原因」として挙げている。

 過去には死亡事故も起きた脱輪。20年度の大型車発生件数は統計を取り始めてから最多だ。国交省は昨年「自動車の点検及び整備に関する手引」を改正しボルトの交換目安などを規定したが、その中で再び起きた事故。同省は改めて整備点検の徹底を求めている。

 一方、交通事故問題に詳しい高山俊吉弁護士は、脱輪の根本的な原因は解明されておらず、整備点検以外にも、車の設計時から危険性を認識すべきだと提言する。「脱輪防止には、保全管理と製造段階の二つの視点を持つことが必要。国交省や警察は原因を科学的、徹底的に分析しなければ、また起きる恐れがある」と危機感を示している。

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