井出北畑遺跡9号古墳出土の「馬形埴輪」(高崎市所蔵)
「馬鈴」(日高遺跡Ⅳ)(高崎市所蔵)
太子塚古墳出土の「馬形埴輪」(高崎市所蔵)
「馬鐸」(伝・井出二子山古墳)(高崎市所蔵)
「三環鈴」(下芝谷ツ古墳)(高崎市所蔵)
「七鈴鏡」(伝・上佐野御堂塚古墳)=高崎市上佐野町の神明山西光寺所蔵

 「よみがえる古墳時代の響き」をテーマにした、かみつけの里博物館の特別展が28日まで、群馬県高崎市の同館で開かれている。古墳時代の鈴にスポットを当て、衣装や馬にさまざまな鈴が用いられ、爽やかな鈴の音が人々の心を捉えていたことを示す史料約100点を紹介している。

 馬を飾った鈴には「馬鈴(ばれい)」「杏葉(ぎょうよう)」などがある。馬具や服飾品として使われたとされる「三環鈴(さんかんれい)」、祭具として用いられたと考えられる「鈴鏡(れいきょう)」、豪族が着けたとみられる「金銅製鈴付大帯」(複製品)―。県内の古墳や古墳時代の遺跡を中心とする出土品が並ぶ。

■装着の埴輪

 古墳時代に鈴がどう使われたかを分かりやすく示すため、鈴付馬具を付けた馬形埴輪(はにわ)や鈴鏡を腰に下げた女子埴輪を展示し、鈴から分かることをパネルで解説している。

 展示している井出北畑遺跡9号古墳(高崎)の馬形埴輪の胸には馬鈴が施され、実物として「日高遺跡Ⅳ」(高崎)などの馬鈴を示している。

 太子塚古墳(同)の馬形埴輪の胸には「馬鐸(ばたく)」、尻には「五鈴杏葉」が見られる。馬鐸は扁平(へんぺい)の筒型の本体の内側に棒状の舌(ぜつ)が付けられ、揺れると音が出る。薬師塚古墳(同)などの馬鐸を見学できる。

 同館学芸員の原佳子さんは「馬同様、古墳時代に伝来した青銅製や金銅製の鈴は見た目も美しく、それまで日本になかった音で、豪族たちの権威の象徴だったと思われる」と解説する。

■神呼ぶ道具

 「鈴釧(すずくしろ)」は周囲に5~10個の鈴を付けた青銅製の腕輪。総社二子山古墳(前橋)出土の鈴釧と、鈴釧を装着した全国的にも珍しい塚廻り4号墳(太田)の人物埴輪「跪(ひざまず)く盛装の男子」を公開している。

 脚部のみ出土している保渡田八幡塚古墳(高崎)の「双脚人物埴輪」には「足結(あゆい)の鈴」が見られる。男子が下半身にはく衣服を束ねるため膝元辺りで留めるひもが足結で、そこに鈴が付けられている。大泉町で出土した「腰かける巫女(みこ)埴輪」は周縁に鈴のある鈴鏡を腰に着けている。鏡は特別な力を持ち権力を象徴するものとされ、鈴が儀式に音響効果を添えたと考えられている。

 原さんは「鈴は魔を払い、神を呼ぶことのできるといわれる素晴らしい道具」と説明。「人や馬が動き、大地をそよぐ風により鈴が音を立てる古墳時代の場面を想像してほしい」と話している。

 午前9時半~午後5時。火曜と24日は休館。大人200円。問い合わせは同館(電話027-373-8880)へ。

映像で音色を

 古墳などから出土したさまざまな鈴の音を、かみつけの里博物館が独自に製作した映像を通して聴くことができる。

 三環鈴や三鈴杏葉などを、学芸員の原佳子さんが細心の注意を払いながら振って音を出した映像(9分)を流している。それぞれ異なる音色が楽しめる。