▼前橋高校を1979年春に卒業した生徒が持つ卒業アルバムは随分とユニークだ。カメラに向かって変な顔をしたり、机に突っ伏して眠っていたり、弁当をかき込んでいたり。上半身裸でおどける姿もある

 ▼写真家で昨年11月に60歳で亡くなった小原玲さんが、在学中に撮影したものだ。業者ではなく、同級生が日常的に向けるカメラだからこそ、等身大の姿を写せたのだろう

 ▼日航機墜落事故、中国・天安門事件、湾岸戦争、ソマリア内戦と報道の第一線に立ち続けた。動物写真家に転身後はアザラシや野鳥のかわいらしい様子を撮りつつ、地球温暖化で生育環境が奪われていることを伝えてきた

 ▼数々のスクープについて「誰よりも写真が好きだった。だから撮れた」と、親交のあった同級生に語っていた。高校時代に撮影した写真を同級生に配ると「皆が喜んでくれた。うれしかった」といい、写真家を目指す原点になったと話していた

 ▼同級生有志が3月12日からJR前橋駅前のアクエル前橋で作品展を開き、代表作100点を公開する。紛争地帯の最前線や極寒の吹雪など過酷な環境でも「写真が好き」だからこそくじけず、命のともしびが消える寸前まで撮り続けた作品だ

 ▼今年も卒業シーズンが近づく。運動や音楽、芸術など、好きだけど夢を追い続けていいのか悩む若者もいるだろう。写真展を見ることが答えにつながるかもしれない。