軽くて軟らかい木材として、昔からたんすやげたなどに活用されてきた桐(きり)。その特性と職人の技術を生かし、時代に合ったさまざまな桐製品の製造販売を手掛けている。長年大切に使われてきた桐たんすのリフォームにも応じ、家族の思い出や歴史を紡ぐ役割も担う。

 扱うのは新潟県の「津南桐」。雪深い山奥で育つため成長が遅く、寒さで身が引き締まるほか、木目も詰まって丈夫なのが特徴だ。桐は調湿作用が優れており、カビの発生を防いだり、虫を寄せ付けなかったりする効果などがあるという。

 切り盛りするのは3代目の根津公安さん(62)をはじめ、4代目で長男の安臣さん(31)、次男の秀崇さん(29)、三男の明仁さん(27)の3兄弟。

 たんすだけでなく、まな板やスマートフォン用スピーカー、ボールペン、かばんなど身近な生活道具を中心に販売する。オーダーメードにも対応し、顧客が求める世界に一つだけの桐製品も手掛ける。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛などの影響で、自宅の家具に目を向ける人が増加。桐の特性を生かした米びつや食パンケース、コーヒー豆保存容器などの売れ行きが伸びているという。公安さんは「桐製品を生活の中で使ってもらえるように工夫してきた。まずは手に取ってほしい」と呼び掛ける。

 古くなったたんすのリフォーム依頼も多く届く。桐たんすは結婚など祝い事の際に購入されることが多く、愛着がこもった大切なもの。削り直しはせず、表面を火で焼いて半永久的に変色を防ぐ「時代仕上げ」を用いて再生していく。長く使ったたんすをテレビボードや食器棚などに作り替えるといったリメークにも応じ、新たな使い道を与える。

 安臣さんは機能性の高い桐は可能性に満ちあふれているとし、今後は海外にもアピールしていきたいと意気込む。「これからは工芸品としてだけではなく、インテリアとして使ってもらえるようなものを作っていきたい」と話した。

これも自慢

 3兄弟のユーチューブチャンネル「桐ブラザーズ」も注目。「桐箱に入れた生食パンはカビが生えないのか」など桐の特性を実験する動画を配信する。

【会社メモ】1917年創業。桐製品は店舗やオンラインで購入できる。問い合わせは同社(☎0278-62-2715)へ。多彩な用途の桐製品。オーダーメードにも対応する。