2021年に群馬県警へ寄せられた児童虐待の相談件数は前年比67件(10.4%)減の573件で、このうち虐待の疑いがあるとして児童相談所(児相)に通告した人数は113人(17.7%)減の523人だったことが9日、県警のまとめで分かった。相談件数と通告人数は過去10年で最多だった20年から減少したが、依然として高い水準にある。新型コロナウイルス感染拡大の影響で対面での相談が難しく、周囲が異変に気付きにくくなっているとの指摘もあり、専門家は関係機関と地域住民らの連携強化を呼び掛ける。

 県警子供・女性安全対策課によると、相談の内訳は、子どもの前で親が配偶者に暴力を振るう面前DVや子どもへの暴言などを含む「心理的虐待」が272件(29件減)で最多。子どもに暴力を振るう「身体的虐待」が149件(9件減)、育児を放棄する「ネグレクト」が35件(10件増)、「性的虐待」が14件(5件増)と続いた。

 虐待に絡んで県警が摘発した人数は67人(15人減)だった。摘発者の内訳は、実父30人、実母25人、養・継父8人、同居人3人など。被害者は小学生と中学生がいずれも24人、高校生・有職・無職が10人、乳児と幼児がいずれも5人だった。性別では大きな差はなかった。

 昨年5月には、高崎市内の自宅で1歳5カ月の長女の左手に熱湯をかけたとして、県警が傷害容疑で母親を逮捕(不起訴処分)。同年6月には前橋市内の自宅で小学生の兄弟2人が刺殺され、殺人容疑で母親が逮捕、起訴されている。

 相談件数の減少に対し、子ども家庭福祉学が専門の高崎健康福祉大の千葉千恵美教授は「コロナ下で保護者らが家にいる時間が増加し、虐待は増えているとも言われている。休校などで周囲の大人が気付けないといった、表に出ていない虐待があることも考えられる」と指摘する。

 県社会福祉審議会児童措置・虐待対応専門部会長の小川恵子さんは、新型コロナの感染拡大により、対面の相談が気軽にできない状況にあると説明。「行政と地域住民が連携して、支援が必要な人から目を離さないことが大切」と話す。

 同課は「少しでも気になることがあれば、警察や児相の全国共通ダイヤル『189』に連絡してほしい」としている。