▼恋人の聖地、高山村のロックハート城には貝で作ったハート形の絵馬がたくさん並ぶ。来場者が結婚の誓いや願い事を書き込んでいる

 ▼有名人のプロポーズの言葉も紹介されている。〈人生のフェアウエーを一緒に歩いて行こうね〉〈ボクには失いたくないモノが2つある。1つはキミでもう1つは髪の毛〉。愛の表現は数え切れない

 ▼愛する妻の弟橘姫(おとたちばなひめ)を亡くし「吾嬬者耶(あづまはや)」(ああわが妻よ、恋しい)と叫んだのは日本武尊(やまとたけるのみこと)。東征に向かう途中、妻が荒れ狂う海に身を投じ海神(わたつみ)の怒りを鎮めた。東征の帰路となった嬬恋村と長野県境の鳥居峠で妻をしのび嘆いた伝説である

 ▼「妻との時間をつくる旅」を題材に嬬恋村観光協会が、夫婦やカップルを歓迎する施設を「妻旅推奨施設」に認定する制度を始めた。故事に基づく村名を名乗る「愛妻家の聖地」にふさわしい受け入れ態勢を整え、旅行者の満足度を高める

 ▼高山村と嬬恋村はともに吾妻郡に属する。諸説ある郡名の由来には「吾嬬者耶」説もある。郡内では長野原町の有志がハート形や縁結びにちなんだ観光素材を見つける「ハートプロジェクトながのはら」を立ち上げた。国指定重要文化財のハート形土偶が東吾妻町から出土したのは、この地に眠る物語があるからだろうか

 ▼あすはバレンタインデー。特別な日は吾妻郡で過ごしたい―。そう思える聖地になる可能性を秘めている。