本を持つ村上住職

 幕末の偉人、小栗上野介忠順(1827~68年)の功績を正しく伝えようと、小栗ゆかりの東善寺(群馬県高崎市倉渕町権田)が子ども向けの本「小栗さま」(B5判、65ページ)を制作し、市立の全学校に寄贈した。村上泰賢住職(80)は「日本の産業革命は小栗の造った横須賀造船所で始まった。子どもたちにも知ってほしい」と話している。

 江戸時代末期に幕府に仕えた小栗は、遣米使節として世界を回り、帰国後に横須賀造船所(神奈川県横須賀市)を建設するなどして近代化の基礎を築いた。一方、大政奉還後に隠せいした本県の旧権田村で新政府軍に無実の罪で斬首され、非業の死を遂げた。

 倉渕地域の住民は小栗を「小栗さま」と呼び慕い、同寺には小栗の墓もある。ただ、村上住職は子どもの頃、偉大さが分からなかったといい、その要因を「教科書に小栗の近代化の功績が入っていないこと」と指摘する。そこで、子どもの頃から小栗の功績を学んでもらおうと制作を決めた。

 本は小栗の生い立ちや功績、遣米使節を巡るエピソード、蒸気機関で稼働する横須賀造船所の特長などを紹介している。小栗の死後、同造船所の技術が富岡製糸場や中島飛行機(現SUBARU)などを通じ、現在の飛行機や宇宙工学に引き継がれていることも盛り込んだ。

 分かりやすい文を心掛け、地図や絵、写真を使って人物像と功績をイメージしやすく工夫した。

 村上住職は「日本の近代化について明治新政府を評価し、幕府方を悪くみる歴史観が残っているが、子どもたちには隠された歴史があることも知ってもらい、ものごとをよく見る人になってほしい」としている。

 8日に市役所を訪れ、飯野真幸教育長に本を手渡した。同寺で550円で購入できる。郵送希望も受け付ける。問い合わせは同寺(電話027-378-2230)へ。