▼〈選手生命…終わりだ。庶民ならな〉。高校バスケットボールを描いた漫画『スラムダンク』のせりふと前後のシーンがこのところ気にかかっている

 ▼主人公の桜木花道は全国大会の試合中、ボールに飛び付き背中を痛める。せりふは競技を断念せざるを得ないほどのけがの可能性を指摘された後のこと。漫画は桜木が競技を始めた高校入学からの5カ月ほどを描く 

 ▼マネジャーは手当てしながら、わずかな期間で急速に力を付けた姿を回想する。そして〈プレイから長い間離れてしまったら。それが失われていくのもまた早い。この4カ月がまるで夢だったかのように〉と憂慮する

 ▼新型コロナウイルスの感染拡大で、本県は1月21日からまん延防止等重点措置の適用が続く。県立学校の部活動は同28日から休止になっている。高崎市と南牧村を除く33市町村も県立学校と同一歩調を取った

 ▼スポンジとも例えられる吸収力で子どもたちはさまざまなことを身に付ける。感染対策と理解しつつ、「失われるもの」に対するマネジャーの懸念が当たってしまわないか心配になる

 ▼高崎市は制限付きながら部活動を継続する理由を「生徒の居場所や心のよりどころ」と説明する。「高校生になったら、部活動を頑張りたい。競技が好きだからつらくても乗り越えられる」という投書が15日付本紙にあった。15歳からのメッセージを受け止めるすべはないか。