2021年に群馬県内の旅館やホテルに泊まった宿泊者数は前年比11.0%減の延べ501万5470人で、現在の統計手法になった11年以降で最少となったことが28日、観光庁の宿泊旅行統計(速報値)で分かった。新型コロナウイルス感染症が年間を通じて影響し、政府の観光支援事業「Go To トラベル」が利用できた20年よりも厳しかった。過去最少を更新するのは2年連続。

 感染拡大前の19年は延べ864万8440人で、同年との比較で21年は42.0%の減少となった。ただ、感染が落ち着き、県の宿泊補助の対象期間だった12月は感染拡大前の7.7%減まで回復している。

 21年は国籍別で日本人が前年比10.2%減(19年比40.2%減)の499万8960人、外国人が76.6%減(94.4%減)の1万6510人だった。

 月別で見ると、新型コロナの影響が出る前との比較となる1月と2月は、ともに前年から5割以上の大幅減となり、1月は54.7%減の26万2470人、2月は55.5%減の26万3260人だった。

 本県に初の緊急事態宣言が適用となり、宿泊施設への休業要請が出されるなどした時期との比較となる4月は前年比175.7%増(19年比42.0%減)の39万6050人、5月は228.1%増(53.9%減)の33万4950人と反動増があった。書き入れ時の7月は12.2%減(39.1%減)の44万8720人、8月は6.7%減(52.7%減)の52万2270人だった。

 感染が落ち着き、県の観光支援事業「愛郷ぐんまプロジェクト」が行われていた10月は15.0%減(21.2%減)の51万6110人、11月は10.3%減(16.6%減)の58万8千人、12月は19.9%増(7.7%減)の61万7780人と徐々に宿泊客が戻った。

 群馬経済研究所(前橋市)は消費動向の調査などから新型コロナが収まれば旅行に出掛けたいというニーズは高いと指摘し、「3回目のワクチン接種が進み、治療薬が普及して新型コロナがインフルエンザのようになれば、宿泊需要が本格的に動き始める可能性がある」と指摘した。

34都道府県前年下回る

 観光庁が28日公表した2021年宿泊旅行統計の都道府県別速報値によると、延べ宿泊者数は本県など34都道府県で20年を下回った。長引く新型コロナウイルス禍による国内旅行の自粛や訪日客の減少が影響した。減少率は沖縄が最も大きく、人気の旅行先を抱える地域の落ち込みが引き続き目立った。

 21年の延べ宿泊者数は、沖縄が21.2%減の1086万4500人。減少率2位は佐賀(15.5%、154万1430人)、3位は京都(15.3%、1176万9700人)だった。コロナ禍前の水準となる19年と比べると全都道府県がマイナス。21年の全国の宿泊者は20年比5.0%減の3億1496万8640人だった。

感染拡大で需要縮小

 28日に発表された観光庁の2021年宿泊旅行統計(速報値)では、新型コロナウイルス下で宿泊需要が縮小し、旅館やホテルの置かれた厳しい状況が浮き彫りになった。政策効果で年末年始に客足が戻った宿泊施設でも、感染が急拡大した年明けからはキャンセルが相次いだ。関係者は新型コロナの感染制御と宿泊旅行が両立する日を願い、施設整備など高付加価値化を急いでいる。

 「年末までは比較的良かったが、年明けからはキャンセルが増えている」。草津温泉(群馬県草津町)のホテル担当者は厳しい現状を説明する。宿泊客数は感染状況で大きく増減することから、働き手の確保が難しくなっているという。

 観光支援事業の国の「Go To トラベル」や県の「愛郷ぐんまプロジェクト」には、旅行したい人にお墨付きを与える効果があるとし、「旅行ムードを盛り上げるためにも再開してほしい」と要望した。

 みなかみ町観光協会は昨年、町と協力して宿泊需要を喚起する事業を実施したが、思うような効果が出なかったという。旅行客が予定を立ててもすぐに感染の波が来るため「旅行をしたい人の心がくじかれたのだろう」と推し量った。

 四万温泉(中之条町)でも2年連続で宿泊者数が最少を更新。同温泉協会の宮崎博行事務局長によると、「愛郷」が停止された1月中旬以降は厳しい状況が続いているが、観光庁の補助事業を利用してワーケーション設備や高機能空調を整備するなど高付加価値化に取り組む施設もあるという。宮崎局長は「感染症対策を万全にしている。お客さまも気を付けてぜひ利用してほしい」と呼び掛けた。

 伊香保温泉にある「和心の宿 大森」(渋川市)では、マイカー旅行やワーケーションの広がりで1人客やカップル客が増えている。客単価を高めて売り上げを確保しようと、客室を改装するなどして質を高める。大森隆博会長は「これを好機と捉えて設備やサービスを見直したい」と前を向いた。

 県観光魅力創出課は「新型コロナの感染状況が落ち着いた際には、多くの人に宿泊施設を利用してもらえるよう準備したい」としている。