亡くなった悠翔君の写真を前に切った髪の毛を掲げる馨太君。ポスターも手作りした
2年間伸ばした馨太君の髪にバリカンを入れる母親の加代さん(右)

 病気などで髪を失った子どもに医療用ウィッグを贈る「ヘアドネーション活動」に協力するため、桐生新里中央小3年の山木馨太(けいた)君(9)=桐生市新里町=が2年間かけて30センチ以上に伸ばした髪を切った。協力を決めたきっかけは、障害があったいとこの有家悠翔(ありけゆうと)君=当時(12)、同=が亡くなったことだった。「ゆう兄(にい)みたいな人のために」。長髪になったことで心ない言葉を向けられたこともあったが、ヘアドネーションを紹介するポスターを手作りして掲示すると、次第に理解が広がった。待ち望んだ断髪で丸刈りになり、満面の笑みを浮かべた。

 悠翔君は幼少期の脳の病気で半身まひやてんかんなどの障害が残り、年長の頃からは薬の副作用で頭髪をはじめ体毛が生えなくなった。2018年に体調が急変し、息を引き取った。

 それから2年ほどして、馨太君は「ヘアドネーションをしたい」と自分から言いだした。母親の加代さん(40)は「嫌な思いをするかもしれない」と反対したが、それでも決断を曲げなかった。

 髪を伸ばし始めると「女みたい」「気持ち悪い」などとからかわれ、一時的に学校へ行けなくなったこともあった。自分のやろうとしていることを分かってもらおうと、知り合いの美容師からヘアドネーションのことを教えてもらい、活動を紹介するポスターを作って教室に掲示した。

 ポスターには悠翔君の写真と共に、「みんなもできればやってほしいです。それでかみの毛のない人はよろこぶと思います」などと書いた。理解が広がり、最近では「私もやってみたい」と応援してくれる友達も出てきたという。

 断髪は26日、甘楽町にある知り合いの美容院で行った。悠翔君の母親の久美さん(42)ら関係者が集まり、ゴムで束にまとめた髪を1束ずつバリカンで刈り取った。加代さんは「嫌な言葉にもよく負けなかった。途中で諦めちゃうかもと思ったことを反省した」と誇らしげに見守った。久美さんも「まさかやってくれると思わなかった。ヘアドネーションを性別に関係なく協力できるようになったらいい」と受け止めた。

 丸刈りになった馨太君は「さっぱりした」と笑顔。「この髪が誰かの役に立ってほしい」と、悠翔君の写真の前で髪の束を掲げてみせた。髪は、子どもに医療用ウィッグを無償提供するNPO法人に託される。