群馬県が新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置の適用延長を政府に求める中、タクシー業界が苦境に立たされている。外出自粛や飲食店の休業に伴う利用客の減少で売り上げが落ち込み、廃業や運転手の退職が相次ぐ。現場の運転手らは収入減による生活の苦しさ、客との交流が失われた寂しさを打ち明ける。業界は先行きに明るさが見えないままだ。
「ほら、駅員が鍵を閉めてる」。2月下旬の金曜日深夜、JR前橋駅前で待機する60代の男性運転手は人影のない駅構内を見つめていた。コロナ以前であれば、終電を逃した酔客がタクシーを求める時間帯だが、現在は朝まで客が来ないこともあるという。
「金曜の夜は仮眠を取る時間すらなかったのに、今はぐっすり眠れる」と自嘲気味に笑う。乗客の減少で年収は3割ほど減った。「値下げシールが貼ってある食べ物を選ぶようになった。食いつなぐしかない…≪続く≫
《コロナ現場発》苦境のタクシー業界 「どん底」いつまで 金曜夜も客なし
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