▼昨年夏から毎朝、自宅周辺を歩いている。この種の試みは半年ほどで飽きてしまうことが多いのだが、珍しく長続きしている。原動力は体重増への危機感と、毎日の運動量などを記録してくれるアプリだ

 ▼ランニングや筋力トレーニングといった項目から記録したい運動を選べる。ウオーキングなら日時やルート、距離、スピード、心拍数などを記録。1カ月の目標も設定してくれる 

 ▼アプリを搭載した腕時計型端末を着けて歩くと、「新記録です」といったメッセージが送られてくる。どんな記録でも更新するのは気持ちがいい。調子に乗って、昨年末、歩く距離を倍以上に伸ばしてしまった

 ▼仕事始めの日、右足首からすねにかけて激痛が走った。整形外科クリニックに駆け込むと、距離や時間を急激に伸ばしたことが原因との診断。アプリが知らせてくれる記録に一喜一憂し、足に違和感を覚えつつも続けた末の失敗だった

 ▼県が新年度の重点施策にデジタルトランスフォーメーションの推進を掲げるなど、デジタル技術の活用が進む。ITや人工知能(AI)がより身近になり、ちょっとした違和感や異変を察知して、ケガや病気を警告したり、診断してくれる日が遠からずやって来るだろう

 ▼だが、ITやAIはより快適に、より安全に生活していくための道具。道具は使うもので、使われるものではない。そんな気持ちで付き合っていきたい。