▼〈我輩も犬である 名前は勿論(もちろん)ない 何処で生まれたか忘れて仕舞った〉。こう書いたのは夏目漱石を敬愛した16歳の芥川龍之介だが、なんだかおかしい。最近の猫人気に愛犬家としては若干のやきもちもあり、あえてパロディーを紹介した

 ▼実は猫のイメージが強い漱石も犬好きだったのは有名だ。猫は名前を付けずに「ねこ」と呼び続け、愛犬にはギリシャ神話の勇者から「ヘクトー」という立派な名を与えてかわいがった

 ▼〈夜を守るの天才なり〉と漱石が評したように、家を守る存在として犬は長く人が飼う動物の中心だった。近年数で猫が逆転したのは散歩が必要なく、狭い住宅や1人暮らしでも飼え、現代のライフスタイルに合っているためのようだ

 ▼今や猫派が優勢である。2が六つ並んだ先月の「猫の日」には経済効果2兆円と驚く試算もあった。ただ人と生活をともにし、ときに心を癒やしてくれるのは犬も猫も同じ。にもかかわらず残念なことに捨てられ、殺処分されることがある

 ▼小さな命を守るとりでに期待したい。前橋市で保護シェルター「犬猫タウン前橋」がスタートした。市保健所から引き取って里親を募集し、譲渡に向かないとされた犬猫も受け入れるという

 ▼犬派で通してきたが、知人が飼い始めた猫がかわいくて仕方ない。わが家に先住する保護犬とシェルターから来た保護猫がじゃれ合う。そんな妄想が膨らむ。