3次元地図作製のため、中心市街地の撮影に使用した8Kカメラ搭載車両

 交通事故の抑止を目指し、前橋市は9日、事故多発地点などでの運転を疑似体験する交通シミュレーターを使い、危険を感じた時のドライバーの脳波や視線の動きを測定する実証実験を行うと発表した。収集したデータを科学的に分析し、高齢者の事故削減をはじめ対策に役立てる。

前橋市が実証実験

 現実で収集したさまざまなデータをデジタル空間で再現する「デジタルツイン」の一環。まず中心市街地を高精細な8Kカメラで撮影し、3次元地図を作製。この地図に基づき、事故多発地点や急ハンドル、急ブレーキをしがちな地点の路面状況などが立体的に再現された“仮想市街地”を運転するシミュレーターを開発した。

 シミュレーターを14~16日の3日間、市役所1階ロビーに設置し、来庁者や市職員ら約100人に運転してもらう。被験者は眼鏡型の「ジンズミーム」などセンサー類を装着し、ヒヤリとした時の脳波や心拍数、視線の動きなどを測定。前橋工科大が得られたデータを分析する。

 分析結果を踏まえ、新年度以降に効果的な事故削減策を検討する。道路の形状や関連設備の改善、高齢者の免許更新時のシミュレーター活用などを想定している。中心市街地の3次元地図は、今後のまちづくりにも生かす考えだ。

 実験は市と同大のほか、有限責任監査法人トーマツ(東京都)、朝日航洋(同)、東京工科大(同)、ジンズ(前橋市)、クライム(高崎市)などでつくる「前橋市『交通テック×脳テック』による先端的サービス実証調査協議会」が実施主体となる。

 同市では2018年、高齢ドライバーが乗用車で女子高校生2人をはねて死傷させる事故が発生したほか、高齢者が加害者となる事故の割合が増加傾向にある。こうした状況の改善に向け、市が企業や大学に参加を呼び掛けた。

 市未来政策課は「現実で収集したさまざまな街のデータをデジタル空間で再現することで、課題解決に向けたさまざまな施策に生かしていきたい」としている。