霧が柔らかく周囲の山々を包む。一直線に伸びる木道の両側に広がるのは、金色に色づいた草紅葉。赤や黄、緑が散るパレットのような山々を背景に、シラカバの幹の白さが際立って見える。

 秋を探しに尾瀬国立公園を訪れた。鳩待峠を出発した時は小雨だったが、尾瀬ケ原湿原を歩いていると、いつしか上がっていた。

 ベンチに腰を下ろして、一休みする。街中とは異質の、草の香りが混じる冷気をはらんだ風が、頬を吹き抜けていく。風とともに雲がゆっくりと移動し、時々切れ間から青空が顔をのぞかせる。

 風が落ち着いたころ、ドローンを飛ばした。写真を見ると、湿原の広がりと、視界の向こうにも池塘(ちとう)と呼ばれる小さな池がいくつもあることがよく分かる。水面(みなも)には紅葉したヒツジグサが点々と浮かんでいる。

 「晴れた日で、池塘に空が青く映っていた。水が透明で、のぞくとゼンマイのような水草の根元や、イモリのような生き物が見えた」と話すのは、@happinesstao24のアカウント名で投稿してくれた群馬県桐生市の女性(56)。友人夫婦と初めて尾瀬を訪れたという。「草紅葉の黄金色で、周りが異世界のようだった」と目にした感動を振り返った。

 ドローンを飛ばしていると時折、物珍しそうに、木道を行き交う人が声を掛けてくれた。東京から初めて尾瀬に来た夫婦。ゆっくりと長蔵小屋へ向かう年配の男性は、何十回と尾瀬に通っていると話した。
 「尾瀬の魅力は、山に登りたい人も、平地を歩きたい人も受け入れてくれるところ」と教えてくれたのは、灰野綾香さん(36)=渋川市(@bamboo___photo)。子育てから少し手が離れ、趣味の登山を最近になって再開したという。9月下旬に訪れた際は、静岡の友人と草紅葉や赤いナナカマドの実などを撮影して楽しんだ。「近々、子どもも連れて行きたい」と願っている。

 気が付くと霧が晴れ、燧ケ岳(ひうちがたけ)がその雄大な姿を現していた。〈ゆっくり変わっていくのは やわらかな風景と 流れる雲みたいな季節と
 単純な人の心と 何も見えない明日と〉(空気公団、旅をしませんか)。コロナ禍もいつかは終わる。秋もやがて次の季節を連れてくる。今、出合えるものを大切に見つめたい。(文・多々納萌、写真・大橋周平)

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◎インスタグラム「#グンマーの秋」で画像をお寄せいただきました。

場所名をクリックすると、画像が見られます。

@happinesstao24
【場所】片品村・尾瀬国立公園、10月3日撮影

@bamboo___photo
【場所】片品村・尾瀬国立公園、9月19日撮影

@yousu_60
【場所】前橋市・赤城山、10月撮影

@mantennohoshi18
【場所】富岡市・妙義山、9月19日撮影

@yamasanpo.2026
【場所】みなかみ町・谷川岳、10月4日撮影

 上毛新聞社は11月30日まで、写真共有アプリ「インスタグラム」の公式アカウント(@jomo_shinbun)で、「#グンマーの秋」をテーマに写真を募っています。

 これまでに4000件超の応募がありました。決して少なくない群馬の魅力を、一緒に見つけましょう。

 投稿方法などは、前記アカウントのプロフィル欄をご確認ください。集まった作品の一部は、断りなくインスタで転載したり、この面や地域面などで掲載したりします。

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「空からぐんま」は月1回掲載。次回は11月16日