岩手県陸前高田市の景勝地・高田松原の砂浜で、海に向かって手を合わせる家族。震災のボランティアなどで同市に関わってきた父親は「忘れてはいけない日。子どもたちとともに祈りをささげました」=11日午後4時26分

 東日本大震災は11日、2011年3月の発生から11年となった。遺族らは午後2時46分の発生時刻に合わせて黙とうした。「強い気持ちで生きていく」。犠牲者に鎮魂の祈りをささげ、復興を誓った。東京電力福島第1原発事故などにより、全国で約3万8千人が今も避難生活を続ける。

 東京で開催してきた政府主催の追悼式は、10年の節目だった昨年で最後に。式典を開かない被災自治体も増え、追悼の形に変化が出ている。

 岸田文雄首相は、福島市で開かれた県主催の式典に出席。遺族ら約200人を前に「東北の復興に全力を尽くす」と述べた。

 遺族代表の南相馬市の高田求幸さん(83)は、義妹の宥子さん=当時(69)=を津波で亡くした。「原発事故の影響で、(宥子さんを)捜すこともできず避難することになった気持ちは言葉では表せない」と声を振り絞った。

 福島県では今年春、帰還困難区域の一部で避難指示が解除される予定だが、住民の帰還が進むかは見えない。来春にも始まる第1原発の処理水海洋放出による風評被害など、復興への課題は山積する。

 岩手県大槌町では、県と町の合同追悼式が開かれ、遺族ら約150人が出席した。自宅で一緒にいた妻と母を津波で失った遺族代表の芳賀俊明さん(69)は「今でも後悔と寂しさがこみ上げてくる。それでも強い気持ちを持って、2人の分まで生きていく」と話した。

 宮城県は追悼式を実施せず、例年3月11日に式典を行ってきた県内の被災13市町のうち、今年も開催したのは石巻、東松島の2市だけ。石巻市で開かれた追悼式には、遺族ら約50人が参列した。

 岩手県陸前高田市では、遺族が希望した1709人分の犠牲者の名前を記した刻銘碑が完成し、一般公開された。

 11年3月11日午後2時46分、宮城県で最大震度7を観測する巨大地震が発生。警察庁のまとめでは、今年3月1日現在で全国の死者は1万5900人、行方不明者2523人。復興庁によると、避難中の持病の悪化や自殺などによる関連死は昨年9月時点で3784人。