DPAT研修の講師役なども務める関口さん

 東日本大震災を機に全国で組織された災害派遣精神医療チーム(DPAT)のうち、2018年に発足した群馬DPATの登録者は2月末時点で116人で、特に48時間以内に被災地入りできる「先遣隊員」の登録が19人にとどまることが、県のまとめで分かった。先遣隊がある赤城病院(前橋市)院長で、DPATの指導役を担う関口秀文医師(40)は、認知度を高めて登録者数を増やす必要性を指摘している。

 関口さんは、群馬DPATの一員として19年の台風15号の際に千葉県、20年のコロナ禍初期には乗客乗員に感染者が出たクルーズ船などに出動した。19年に栃木県栃木市唯一の精神科病院が台風で浸水した際は、DPAT本部事務局として現地入りし、患者73人の移送手配で同県職員を支援した。

 これらの現場では、被災者だけでなく、自身も被害を受けながら支援側に立つ医療関係者や、外部からの支援者らも強いストレスにさらされ、ケアが必要だった。法的措置で入院中の精神科患者を他の医療機関に移す手続きに、専門知識が求められるケースもあり、DPATの重要性を改めて実感したという。

 県内の登録者数は少ないと捉えている。「心の不調で絶食や自殺に至る危険もある。そもそもDPATが知られていない」と嘆く。病院としてDPATに加わる経営上の利点が制度化されていないと指摘し、「災害は群馬でも起こり得る。困ったら助け合う空気を、もっとつくりたい」とした。

 その一環として、19年の台風被害で閉鎖を決めた栃木市の精神科病院の事業承継を申し出て、2月に再び開院した。「DPATは急性期を担うが、災害は復興がゴール。一経営者としての判断だが、そこに関われてうれしい」と話した。こうした取り組みがDPATの輪の拡大にもつながると考えている。

 県によると、群馬DPATには県内13病院が参加している。今月5日には隊員登録に向けた研修が行われ、登録済みの人を含む33人が受講した。一方、先遣隊はよりグレードの高い研修が必要な上、チームで登録するため人数が伸び悩み、県内では赤城病院と県立精神医療センター(伊勢崎市)の2病院にとどまる。

 県障害政策課は「どのような災害が起きるか分からず、人手は十分とは考えていない。登録者数を増やしたい」としている。

 災害派遣精神医療チーム(DPAT) 自然災害や航空機・列車事故などの際、現地に入る専門的医療チーム。精神科医師、看護師、業務調整員の少なくとも3人以上でチーム編成。要請に基づいて出動し、DPAT都道府県調整本部がチームの指揮や災害派遣医療チーム(DMAT)などとの連携を担う。ストレスを受けた住民や精神科患者の薬の処方や症状悪化に対応する。