▼庭の隅にフキノトウを見つけた。アジサイの枝にもいつの間にか新芽が出ている。日ごと濃くなっていく春の色合いに、心が浮き立つ

 ▼土色が目立っていた田んぼもすっかり緑色が優勢に。冬を越した麦が茎を伸ばしているのだ。初夏になれば一面、黄金色に染まり、米との二毛作が盛んな本県ならではの景色を生む

 ▼産地の一つで「麦秋の郷」を掲げる玉村町にユニークなプロジェクトがある。地元の特産と食文化に興味を持ってもらおうと、町民団体などが協働して麦でストローを作る取り組み。茎が空洞になっている点を生かした、100%自然素材のストローだ

 ▼大麦を手作業で刈り取り、節に合わせて切断。丁寧に洗い、消毒、乾燥して仕上げる。昨秋、小中学校の給食で使ってもらうと「麦がストローになるなんてびっくり」「いつもよりおいしく感じる」と子どもたちの反応は上々だったという

 ▼取り組みを提案した町学校給食センターの管理栄養士、坂本明美さんは「町じゅうの子が麦のことを知り、愛着を持ってくれるといい」と期待する

 ▼深刻な海洋汚染を招いているとして、使い捨てプラスチックごみの対策が進む。ストローもその一つ。木や紙などプラスチックに代わる材質の製品が増えてきた。地元産の麦ストローは意識の変化を促すきっかけにもなるだろう。育てる、作る、使う。そんな循環が生まれたら、なおいい。