ロシアによるウクライナ侵攻に国際社会の非難が集まる中、ウクライナ語教育の第一人者で、ウクライナ研究会副会長を務める中沢英彦・東京外国語大名誉教授(前橋市出身)が17日、上毛新聞の取材に応じた。ウクライナ側の抵抗の根底に約350年にわたるロシアの支配があると指摘。この「屈辱の歴史」に対する反発がある限り「今後、ウクライナがロシアに同化することはない」と強調し、プーチン政権の強引な姿勢を批判した。

 ロシア語教育界の重鎮でもある中沢さんによると、ウクライナは資源が豊富で土壌が肥え、災害が少ない。他国に行きやすく、周囲の国から狙われやすい要所でもあり、1654年のペレヤスラフ協定を契機にロシアに隷属することになった。その後、ロシアはウクライナに対し、13回にわたってウクライナ語禁止令を出したという。

 その理由について、中沢さんは「ロシアにとってウクライナは、地政学的、経済的にみてもなくてはならない地域だった。だからこそ分離を恐れ、ウクライナ語はあくまでロシアの方言にとどめ、一国の言葉にするのを防ぎたかったのではないか」と説明する。

 その上で「こうした長きにわたる屈辱の歴史がロシアへの抵抗につながっている」と強調。「350年にわたって支配され、使用を禁じられても(ウクライナ語は)消えなかった。ウクライナ人にとって、言葉は誇りであり、心の支えだった。ロシアへの同化はもうないだろう」と述べた。

 中沢さんは前橋高を経て東京外国語大に進んだ。現地を訪れた経験から、ウクライナと日本には「緑豊かで、自然と人間が一体という意識がある」との共通点があると指摘する。ウクライナ民謡の歌詞に「月」がたびたび登場することを挙げ、「花鳥風月をめでる空気があり、自然に対する感性がとても似ている」と語った。

2022/03/17 20:09公開
2022/03/18 00:52更新

  
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