閉店が決まった本店タカハシ高崎店

 前橋で、高崎で、あちこちで見かける衣料品店「本店タカハシ」。通称ホンタカはどの店にも看板に「本店」を掲げるが、真の本店は70年以上前から高崎市鞘町にあることを知る人は多くない。その本店が近く閉店するという。本店のない本店タカハシはどうなってしまうのか。

 実はホンタカを展開するタカハシ本店(同市鞘町、高橋哲人社長)は1875(明治8)年創業の老舗だ。現金払いや返品しないことを条件に商品を安値で仕入れ、低価格で販売して中高年女性らの支持を集めてきた。

 「本店タカハシ」の名で高崎店を含め、群馬、茨城、埼玉の3県に11店舗を展開する。最近は郊外のショッピングセンターなどへ出店を積極化。ネットショップもあり、SNSでも情報発信しており、攻めの姿勢が目立つ。

 真の本店である高崎店は1950年に創業地の同市本町から移転して以来、鞘町に置かれてきた。現在の建物は72年に建てられた。鉄骨造り5階建てで延べ床面積は約2700平方㍍。1階で婦人向け衣料や寝具、2階で紳士向け衣料や小学校の体操着、介護用品を扱っている。3階から上は事務所や倉庫になっている。

 中心市街地の衰退とともに利用客は減少傾向が続いていた。そこに新型コロナウイルスによる外出控えが追い打ちをかける。築50年の老朽化した建物は雨漏りし、使い続けるには多額の改修費が見込まれ、現在地からの撤退を決めた。

 土地と建物は不動産開発業者に売却し、跡地にはマンションが建設される見通しという。

 本店の中の本店、まして市民に慣れ親しんだ中心街の店となれば惜しむ声もある。40年通い続けるという80代の女性は「金額的にも手ごろで何でもそろっていて、本当にありがたいお店だった。友人を誘って最後にもう一度行きたい」と名残惜しそうに話す。

 高橋社長は「お客さんに対してはありがたさと申し訳なさで一杯。相当悩んだが致し方なかった」と打ち明ける。閉店は6月中旬を見込むという。

 では、本店タカハシの本店が閉店したら他の本店はどうなるのか━。ホンタカは消えてしまうのか。禅問答のような問いが残る。

 結論から言うと、ホンタカはなくならない。本社機能と登記上の本店所在地を、隣地に所有する建物に移すとのこと。つまり外見上の本店は閉じるが、真の本店は書類上存在し続ける。よって各地の店は存続するという。ホンタカファンもひと安心だ。

 高崎店では閉店セールを開催中で、商品がなくなれば5月中に店を閉める可能性もある。聖地巡礼するなら早めがお勧めだ。