「電力需給逼迫警報」を受け、カイロや湯たんぽが売れたカインズ伊勢崎店

 経済産業省が、本県を含む東京電力管内の9都県に初めて発令した電力需給逼迫(ひっぱく)警報。県内の小売店では季節外れの湯たんぽが多く売れるなど、販売動向が変化した。日本卸電力取引所から電力を調達する新電力会社は価格高騰に直面。警報は23日に解除されたが、節電騒動で改めて注目されたインフラについて、有識者は再生可能エネルギー設備や蓄電池の整備の必要性を訴える。

◎停電に備え
 平野部でも広く雪が降った22日、ホームセンターのカインズ伊勢崎店(伊勢崎市宮子町)では、カイロや湯たんぽなど電気を使わない暖房用品を買い求める客がひっきりなしに訪れた。停電に備えた動きとみられ、町田安彦副店長は「湯たんぽなどはこの時期にほとんど出ない商品なのだが」と驚いた様子。スーパーのとりせん(館林市)でも、1週間前と比べてガスボンベが約4倍、乾電池が1.8倍売れた。

 高崎市で創業したビックカメラ(東京都)の店舗では、持ち運びができるポータブル電源への問い合わせが多く寄せられた。携帯電話や湯沸かし器、ドライヤーといった家電も使える5万~10万円の商品が売れ筋で、担当者は「防災関連商品の動きがいい」と話す。

 電力の調達が必要な新規参入の電力会社は、調達コストの急上昇に直面した。日本卸電力取引所の取引価格は22、23の両日、一時1キロワット時当たり80円まで上昇。中之条パワー(中之条町)の山本政雄社長は「昨年10月から上昇傾向にあったが、ここまで高いとは」と嘆く。

 同社が取引所から購入した電力は全調達電力のうち半分程度だが、昨年3月の平均は同6.7円。山本社長は「市場価格に左右されない電源を増やさなければならない」と課題を口にする。おおた電力(太田市)も「原料コストの影響を考え、小売価格も検討しなければいけない」と値上げも見据える。

 ◎原発再稼働
 電力の安定供給が注目される中、県商工会議所連合会の曽我孝之会長は「企業も個人も、電力がなければ立ち行かないことを改めて思い知らされた。安全に十分配慮した原子力エネルギーの有効活用について、議論が進むきっかけになれば」と原発再稼働の必要性を訴える。

 エネルギーに詳しい高崎経済大の水口剛学長は「火力発電所は石炭や天然ガスなど海外資源に依存し、一極集中型のエネルギーシステムであるため脆弱(ぜいじゃく)だ。自国の再生可能エネルギーを分散して整備することが大事で、蓄電池の整備も進めなければならない」と指摘する。