「購入した子犬が感染症にかかっていて、すぐに死んでしまった」。新しい家族を迎えた飼い主から悲痛な声が寄せられた。購入先は業者が一定期間、会場を借りて販売する「移動販売会」などと呼ばれる形式。主催業者は法令順守を主張するが、愛護団体には動物の健康状態などに関する疑問の声もある。ペット購入を巡る相談は全国的に増えており、群馬県消費生活センターは購入時の健康状態や契約書の確認を呼び掛けている。

「健康状態や 契約確認を」

 疑問を寄せた飼い主によると、子犬は昨年、高崎市内で開かれた移動展示即売会で購入した5日後に死亡した。獣医師の診断で死因はパルボウイルスによる感染症とされた。子犬が感染し、発病すると重篤化しやすいという。

 販売会を主催した会社の代表は上毛新聞の取材に対し、「行政のチェックを受けて開催している」とし、この子犬についてもワクチン接種済みで証明書も付けていたと主張する。契約書の不備や販売後のトラブルがあることは認めつつ、こうした問題には「買い手ごとに適切に対応している」と説明した。

 高崎市に確認すると、開催前と当日に販売会場に立ち入り、環境省令に基づく飼養管理基準を確認した結果、法令違反はなかったという。

 ただ、動物愛護の観点からこうした販売会を疑問視する声はある。動物福祉向上に取り組む公益財団法人動物環境・福祉協会Eva(東京都)の杉本彩理事長は犬や猫がケージに入れられ、トラックの荷台に山積みにされて運ばれるケースがあると説明。道中の健康面が担保されない上、集団で運ぶことで感染症リスクが高まると指摘する。

 ほかにも、各地から「販売会場の犬や猫が異常にやせている」「購入後、病気にかかっていることが分かり、治療に多額の費用がかかった」といった相談が寄せられているという。

 杉本理事長は「ペットの販売全てを否定するわけではない」とした上で、動物の飼養環境をしっかり確保できる制度や購入側の衝動買い防止に向けた啓発などの必要性を強調する。

 契約面の注意を呼び掛ける声もある。国民生活センターによると、ペットの購入に関する相談は2018年に全国で1300件、19年に1403件、20年には1525件と年々増えている。

 ペット問題に15年以上関わってきた「動物の法と政策研究会」会長の細川敦史弁護士(兵庫県)は移動販売会を巡り、契約書に事業者側に一方的に有利な条項が含まれる場合があるとし、慎重な判断を促す。

 県消費生活センターは「購入時は必ず健康状態を確認し、契約書の細部まで目を通してほしい」と呼び掛ける。一方で同センターにはペットの購入者から「思っていたのと違うので返品したい」など飼い主の身勝手と思えるような声も寄せられるといい、「生き物の安易な購入は控えてほしい」と訴えている。

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